Claude Fable 5の記事を読んでいると、決まって横に「Mythos 5」という名前が並んでいます。でも中身の説明はたいてい一行だけ。名前だけ知っていて、実は何なのかわからない。私もその一人でした。気になったので調べてみました。
Fable 5といつも一緒に発表される名前
そもそもこの二つは、2026年6月9日にAnthropicが同時に発表したモデルです。同時に生まれ、6月12日の輸出規制で同時に止まり、7月1日にそろって戻ってきました。片方だけの話は出てこない、いつもセットの兄弟のような関係です。
止まって戻るまでの経緯は、別記事にまとめました。
中身は同じ、違うのは「ブレーキ」
調べていちばん腑に落ちたのがここです。公式によると、Mythos 5はFable 5とまったく同じ能力を持っています。頭の良さは同じ。違うのは安全装置だけです。
Fable 5には、危ない要求を見分けて断るセーフティ分類器(危険な指示を判定して答えを止める仕組み)が組み込まれています。一方のMythos 5には、この分類器が入っていません。つまりMythos 5は、ざっくり言えば「断らない版」なんです。
Fable 5がどこで答えを止めるのかは、安全設計をまとめた記事が参考になります。
だから誰でも使えるわけではない
ブレーキを外した版を野放しにはできません。Mythos 5は一般公開されておらず、Project Glasswingという限定枠のなかで、承認された顧客だけが使えます。使いたければAnthropicやAWS、Google Cloudの担当に相談する、という筋道です。
裏を返すと、私たちがふだん触るのはFable 5のほうだけ、ということです。能力はMythos 5と同じなので、普通の仕事で困ることはありません。
値段も条件も同じ
意外だったのが、二つは料金も動作条件も同じという点でした。どちらも文脈の広さ(いちどに読み込める情報量)は100万トークン、料金は100万トークンあたり入力10ドル・出力50ドルです。トークンはAIが文章を数える単位で、日本語ならおおむね1文字前後だと思ってください。
そして両方とも、入力と出力を30日間保持することが必須になっています。データを即消す「ゼロデータ保持」は選べません。このあたりは業務で使うなら知っておきたいところで、別記事で詳しく書きました。
なぜ「断らない版」がわざわざあるのか
ここが個人的にいちばん考えさせられた点です。安全装置は頼もしい反面、正当な研究や検証で「本当は答えてほしい」場面まで巻き添えで断ってしまうことがあります。素性のはっきりした組織には、その巻き添えを外した版を渡したい。だから限定枠でMythos 5を用意している、という理屈です。
今回、Fable 5がジェイルブレイク(安全装置のすり抜け)をきっかけに止められた騒動を思うと、分類器つきのFable 5を一般公開版に据えている意味がよくわかります。
私たちに関係あるのか
正直に言えば、非エンジニアの日常業務でMythos 5に触ることは、まずありません。それでも「同じ頭脳で、ブレーキの有無が違う二台がある」と知っておくと、得することがあります。
私は最初、Fable 5に作業を断られたとき「壊れたのか」と焦りました。でもあれは仕様で、断る分類器がちゃんと働いた結果だったんです。兄弟の関係を知ってから、断られても慌てなくなりました。使うのはブレーキつきのFable 5。それで十分だ、と今は思っています。





