Codex CLIに /import というコマンドが入っています。Claude Codeの設定を、Codex側に丸ごと持ってくるためのものです。

最初に見たとき、対応範囲の広さに驚きました。設定ファイルだけでなく、自分で用意した手順書や、外部サービスとの接続設定まで含まれています。

Codexに乗り換える気がない人にも読む意味があると思っています。自分が積み上げた設定が、他所へ持ち運べる形になっているかの点検表として使えるからです。

何が移るのか

公式のドキュメントに一覧があります。

公式の一覧は「何を」「Codexの何として」取り込むかという対応で書かれています。そのままの形で移るのではなく、Codex側の概念に読み替えられて入るという点が要点です。

Claude Code側

Codex側の着地先

指示を書いたファイル

AGENTS.md

settings.json

config.toml

スキル

スキル

スラッシュコマンド

スキルとして

サブエージェントの定義

Codexのエージェントとして

プラグイン(機能を足す追加パーツ)

プラグイン

MCPサーバーの設定(外部のサービスにつなぐ設定)

MCPサーバーの設定

フック(決まったタイミングで自動実行する処理)

Codexのフック

プロジェクトフォルダとメモリ

プロジェクトとメモリ

チャットの履歴も対象で、直近30日、最大50件という上限が付いています。

指示ファイルの行き先が AGENTS.md になっているのは、Codexがその名前を使うからです。Claude Code側は AGENTS.md を読みません。 公式ドキュメントに「Claude Code reads CLAUDE.md, not AGENTS.md」と明記されていて、AGENTS.md を読ませたい場合は CLAUDE.md の中に @AGENTS.md と書いてインポートするか、シンボリックリンクを張る必要があります。

つまり両方のツールで同じ指示を使いたいなら、AGENTS.md を実体にして CLAUDE.md から取り込む形にしておくのがいちばん素直です。私はこの構成にしています。

移らないと明記されているもの

ドキュメントにはっきり書かれているのが1つあります。通常のClaudeのチャットのデータは移行できません。

これは分けて理解しておく必要があります。移るのはClaude Codeのセッションで、claude.aiで交わした会話は対象外です。名前が似ているので混同しやすいところです。

実行方法と、使えない場面

CLIならローカルのセッション中に /import と打ちます。デスクトップアプリなら設定画面のImportから。

制限が3つあります。実行中のタスクがあるとき、リモートのセッション、app-serverのデーモンに接続しているときは使えません。あとの2つはふだんの使い方では起きないので、気にする必要はありません。

私は1つめで弾かれました。裏でタスクを走らせたまま打っていたからです。

インポート後にやることも書かれています。ひとことで言うと、設定の形は移るが、鍵は移らないという設計です。トークンをそのまま複製されると困るので、考えてみれば当然です。移行できたつもりで動かすと、認証のところで止まります。

具体的には、MCPサーバーのカスタム認証・ヘッダー・環境変数の確認と、プラグインの再認証が必要な場合があります。

対応範囲がCursorにも広がった

この機能はバージョンを追って広がっています。

/import そのものが入ったのが0.140.0で、Claude Codeからのセットアップとプロジェクト設定、直近のチャットを選んで取り込む形でした。0.145.0でCursor(Claude Codeと同じくコードを書かせるための別のツール)にも対応が広がり、設定、MCPサーバー、プラグイン、セッション、コマンド、プロジェクト単位のメモリが対象になっています。

さらに0.146.0では、Claude Code用のプラグインマーケットプレイスが追加されました。移行を助けるだけでなく、Claude Code向けに作られた資産をCodex側で使い続けられるようにする方向です。

まとめると、0.146.0まで上げればここに挙げた全部が使えます。 自分のバージョンは codex --version で確認できます。

なおドキュメントのページには、2026年8月4日時点でClaude Codeからの移行だけが書かれていて、Cursorの記述が見当たりませんでした。リリースノートには入っているのに、ドキュメントが追いついていない状態です。実際に使うときは両方を見たほうがいいです。

逆方向がないという話

ここが今回いちばん考えたところです。

Claude CodeからCodexへ移す手段は用意されています。逆に、CodexからClaude Codeへ移す公式の手段は見つけられませんでした。片方向だけ整備されているという状態です。

これを乗り換えを促す仕掛けだと読むのは簡単ですが、私はもう少し実務的に受け取りました。自分が積み上げた設定が、どこまで持ち運べる形になっているかを点検する機会として使えるということです。

私は実際に自分の設定を見返して、Claude Code固有の書き方に寄せすぎている箇所が2つありました。片方は AGENTS.md に切り出して両方から読ませられる内容を CLAUDE.md に直書きしていて、もう片方は特定のスラッシュコマンド名に依存する形で手順書を書いていた。どちらも移行の話とは関係なく、単に整理されていないだけでした。

Codexを使わない人が点検するなら、この2箇所です。共通の形式に切り出せるものを片方のツール専用のファイルに直書きしていないか。 そして特定のコマンド名に手順書が依存していないか。 どちらも当てはまるなら、道具を変えるかどうかとは無関係に直す価値があります。

試すなら別のプロジェクトで

最後に注意点です。/import は既存のエージェント設定を変更しないと書かれていますが、私は念のため作業用のプロジェクトで試しました。

理由は、取り込まれた結果を見て「思っていたのと違う」と感じたときに、戻す手順が明示されていないからです。フォルダ単位で分けておけば、消せば終わります。

比較そのものについては、別記事で扱っています。

移行できるかどうかより、移行できる形で書いてあったかどうかのほうが、自分にとっては収穫でした。