Fable 5を触っていて、前のモデルとの違いをいちばん感じたのが「考え方」の部分でした。以前は「じっくり考えて」と頼む場面がありましたが、Fable 5ではその頼み方が変わっています。ここを知らないと、遅い・高いと感じる原因になります。

「考えるかどうか」を指定しなくなった

Opus 4.8までは、深く考えさせたいときに思考をオンにする、という指定がありました。Fable 5では、この考える動作が常にオンです。モデルが自分で「ここは考えどころだ」と判断して、必要な分だけ考えます。

裏を返すと、オフにはできません。ちょっとした質問でも、Fable 5は必要と思えば少し考えてから答えます。だから軽い作業に使うと、前より一拍待たされたように感じることがあるんです。

深さはeffortで決める

その考える深さを調整するのが、effort(直訳すると努力の度合い、ここでは考える深さのつまみ)です。段階で選べて、公式は次のような目安を示しています。

  • 普段の作業は high を既定に
  • いちばん難しい、失敗できない作業だけ xhigh(いちばん上の設定)
  • 定型の軽い作業は mediumlow

おもしろいのが、Fable 5は低めのeffortでも、前の世代の最上位設定を上回ることが多いとされている点です。つまり、いつも最大にする必要はありません。むしろ「速くて安い方」に倒しても、十分に賢い。

コーディング用のツールであるClaude Code(Fable 5のようなAIを動かす道具)でのeffortの選び方は、別記事で具体的に書いています。

生の思考は見えない

もう一つの変化が、考えている中身の見え方です。Fable 5は、生の思考過程(頭のなかの独り言)をそのまま返しません。返ってくるのは、読みやすく要約された思考だけ。しかも初期設定では、その要約も省かれています。

なぜ隠すのか。強力なモデルの思考をそのまま引き出そうとする行為は、安全装置(AIが不適切な使われ方をしないよう見張る仕組み)がすり抜けの糸口として警戒する対象だからです。実際、「考えた過程をそのまま全部書き出して」と頼むと、安全装置が反応して作業を断られることがあります。中身を知りたいときは、生の独り言ではなく、用意されている要約のほうを見る。そう割り切ると引っかかりません。

この点は、頼み方のコツともつながっています。過程を逐一しゃべらせようとせず、結果を受け取る前提で頼むほうが、Fable 5とはうまくいきます。Fable 5と対になるもう一つのモデル(Mythos 5)との関係や安全の設計は、こちらにまとめました。

費用と時間のつまみでもある

effortは、賢さだけでなく、時間とお金のつまみでもあります。深く考えるほど、待ち時間も費用も増える。だからこそ、作業の重さにあわせて上げ下げするのが賢い使い方です。

「完成はしたけど時間がかかりすぎた」「もっとテンポよくやり取りしたい」というときは、effortを一段下げる。それだけで、体感がだいぶ軽くなります。

どこで上げて、どこで下げるか

つまみといっても、最初はどこに合わせればいいか迷います。私が目安にしているのは、作業の「取り返しのつかなさ」です。

間違えると困る、あとから直しにくい作業は上げる。たとえば契約まわりの文面の確認、数字を扱う分析、方針を決める相談。逆に、下書き・言い換え・体裁の整えのような、間違えてもすぐ直せる作業は下げる。この基準で分けると、待ち時間と費用のムダがはっきり減りました。

もう一つ、重い設定で長い作業を投げたときは、そのまま画面の前で待たないこと。数分から、場合によってはもっとかかることがあります。投げたら別の仕事をして、あとで結果を見に行く。そういう付き合い方に切り替えると、待たされている感覚がなくなります。

私の使い分け

正直に言うと、私は最初、何でも最大の設定で回していました。賢いほうがいいに決まっている、と思い込んでいたんです。でも軽い下書きにまで最大の深さを使って、待たされて費用もかさんで、本末転倒でした。

今は、頭を使う相談だけ high、文章の整えや定型作業は lowmedium。この二段構えにしてから、速さも費用も落ち着きました。考える深さは、いつも最大が正解ではない。作業に合わせて選ぶ。それだけの話です。

つまみが一つになったぶん、迷う要素は減りました。最初のうちは high に置いておいて、遅い・高いと感じたら一段下げる。その調整を何度か繰り返すうちに、自分の仕事に合ったところが見えてきます。