「Claude Codeに会社のコードを読ませて大丈夫なのか」。研修先でいちばん多く受ける質問の一つがこれです。便利そうだけど、自社のソースコード(アプリやシステムの中身を書いたプログラムの文章)が外に漏れたら大ごと、という心配はもっともです。私自身、最初に業務で使うときは同じ不安がありました。

この「漏れるのか」という問いに、できるだけ正確に答えてみます。結論を急がず、まず仕組みから見ていきます。

そもそもコードはどこへ行くのか

最初に押さえておきたい事実があります。Claude Codeはあなたのパソコンの中だけで動く道具ではありません。中身のAIはAnthropic(クロード開発元)のサーバー側にあるので、あなたが読ませたコードや指示は、いったんネット越しにAnthropicへ送られて処理されます。

ここだけ聞くと「やっぱり外に出るのか」と思うかもしれません。けれど「処理のために送られる」ことと「世間や他人に漏れる」ことは別物です。送られたコードが、他のユーザーに見えるようになったり、勝手に公開されたりするわけではありません。

不安の中身を分けると、本当に気にすべきは二つです。送ったコードが学習に使われるのか、そしてどれくらいの期間とっておかれるのか。この二つはプラン(契約の種類)によって扱いが変わります。

学習に使われるかはプランで分かれる

ここが一番大事なところです。

無料プランや個人向けの Pro / Max では、2025年8月28日の規約変更以降、入力したデータが学習に使われる設定が初期状態でオンになっています。使われたくないなら、自分でオプトアウト(学習に使わせない設定)をする必要があります。

いっぽう、法人向けの Team や Enterprise、開発者向けのAPI(自社のシステムにClaudeを組み込んで使うための窓口)、それに大手クラウド経由、たとえば Bedrock(Amazonのサービス)や Vertex(Googleのサービス)で使う場合は、初期状態で学習に使われません。業務でコードを扱うなら、こちらの区分を選ぶのが素直です。

つまり「漏れる」かどうかの体感は、個人プランのまま設定をいじらず使うのか、法人・API系で使うのかで、だいぶ変わってきます。

どれくらい保存されるのか

保存期間も同じくプラン次第です。

個人プランで学習をオンのまま使うと、データは5年間とっておかれます。学習をオフ(オプトアウト)にすると、保存は30日です。法人向け(Claude for Work)は標準で30日、API経由ではさらに短い既定値の場合もあります(2026年6月時点)。Enterpriseでは、そもそも保存しない取り決め(ゼロデータ保持)を組織単位で結べる場合もあります。

「ずっと残り続ける」と漠然と怖がっていたものが、条件によって5年だったり30日だったり0だったりする。ここを知っておくだけで、判断がだいぶ落ち着きます。

本当に怖いのは別のところ

ここまでは仕組みの話でした。実務でひやりとするのは、むしろもっと手前のミスです。

たとえば、APIキー(サービスにログインするための鍵にあたる文字列)やパスワードが書かれたファイルを、うっかりClaude Codeに読ませてしまうこと。コードそのものより、こうした認証情報(本人だと証明するための鍵)のほうが、漏れたときの被害が直接的です。私も一度、設定ファイルごと読ませようとして、中にキーが残っているのに気づいて慌てて止めたことがあります。

なので対策は、プラン選び以前に、送る中身を絞ることから始まります。秘密情報はファイルに直書きしない、読ませる範囲を限定する、といった基本のほうが効きます。

結局どうすればいいか

整理すると、こうなります。

  • 業務で使うなら、学習されない法人・API系のプランを選ぶ
  • 個人プランで使うなら、まず学習のオプトアウトを設定する
  • どのプランでも、APIキーやパスワードは読ませない

この三つを押さえておけば、「漏れるのが怖いから触らない」と身構える必要はだいぶ減ります。仕組みを知らないまま避けるのも、知らないまま使うのも、どちらも危うい。中身を分けて理解したうえで、自分の使い方に合った線を引くのがいちばんです。

チームで使うなら、ここまでの話を個人任せにせず、仕組みとして止められるようにしておくと安心です。たとえば機密が混ざったまま送られないよう、あらかじめ読ませない範囲を決めておく、といった備えです。具体的な組み方は別の記事にまとめました。

研修先でも、最初に怖がっていた担当者ほど、この仕組みを一度整理すると一気に使い始めます。漠然とした不安の正体が分かれば、過剰に避ける理由はなくなるからです。