Claude Codeを長く使っていると、「さっき言ったこと、もう忘れてる?」と感じる瞬間があります。その正体が、コンテキストウィンドウです。AIと付き合ううえで、これを知っているかどうかで作業のしやすさが変わります。
コンテキストウィンドウは「一度に覚えていられる量」
コンテキストウィンドウとは、AIが一度に覚えていられる情報の量のことです。
人間でいう短期記憶に近い。会話の履歴、読み込んだファイル、指示の内容 — これらをぜんぶ合わせて、ある上限までしか同時には保持できません。この上限がコンテキストウィンドウで、トークン(AIが処理する文章量の単位)で測ります。
1Mトークンという広さ
最近のモデルでは、この上限が大きく広がりました。
新しいAIモデルのFable 5やMythos 5では、コンテキストウィンドウが1M(100万)トークンに達しています。1Mトークンは、日本語にすればおおよそ文庫本数冊ぶん。それだけの情報を一度に頭に入れたまま作業できる、ということです。
新モデルの概要は別記事に。
これが広いほど、大きなプロジェクト全体を見渡しながら作業できます。「2ヶ月の移行を1日で」のような大仕事が成り立つ背景にも、この広さがあります。狭いと、ファイルを少し読むだけで上限に達し、何度も読み直す手間が増える。広さは、大きな対象を一度に扱えるかどうかに直結します。
あふれるとどうなるか
ただし、無限ではありません。上限を超えると、古い情報から押し出されていきます。
長い会話を延々と続けると、最初のほうで伝えた前提を、Claudeが「忘れた」ように振る舞うことがある。これは故障ではなく、コンテキストウィンドウから古い情報があふれ出たためです。冒頭の「さっき言ったこと忘れてる?」の正体がこれです。
広いほど油断もしやすい
正直な体験を書きます。1Mトークンと聞くと「もう何を入れても大丈夫」と油断しがちです。私もそうでした。
でも、関係ないファイルまで大量に読ませると、肝心の情報が薄まって、かえって精度が落ちることがあります。広いからこそ、何を入れるかを選ぶ意識が要る。容量が増えても「必要なものだけ渡す」基本は変わりません。
前提の渡し方そのものは別記事に。
長い作業との付き合い方
長い作業でコンテキストと上手に付き合うコツを、私の運用から挙げます。
ひとつの長い会話に何でも詰め込まず、区切りのいいところで作業を分ける。プロジェクトの前提は、前提を書いておく専用のメモファイル(CLAUDE.md)に書いておき、会話が長くなっても参照できるようにする。この2つで、「あふれて忘れる」事故がだいぶ減ります。
会話が長くなりすぎたときに要約して圧縮する方法は、別記事で扱います。
「全部読ませれば賢くなる」は誤解
最後に、よくある誤解を解いておきます。「コンテキストが広いなら、関連しそうな資料を全部読ませればいい」と考えがちですが、これは逆効果になりやすい。
人間でも、必要な資料1枚を渡されるのと、関係ない書類の山から探せと言われるのとでは、前者のほうが速く正確です。AIも同じで、ノイズが多いほど判断がぶれます。広いコンテキストは「たくさん詰め込む」ためではなく、「大きな対象を、必要な部分に絞って見渡す」ために使う。この意識があると、容量を活かしきれます。
まとめ
- コンテキストウィンドウはAIが一度に覚えていられる情報量の上限
- トークン(文章量の単位)で測り、会話・ファイル・指示をすべて含む
- Fable 5やMythos 5では1M(100万)トークン、文庫本数冊ぶんの広さ
- 上限を超えると古い情報から押し出され「忘れた」ように見える
- 広くても、関係ないものを入れすぎると精度が落ちるので選んで渡す
- 長い作業は区切って分け、前提はCLAUDE.mdに書いておくと安定する





