「AIで仕事がなくなる」という話を、私は何度も研修の場で聞かれます。答えるときに困るのは、根拠のある数字が手元にないことでした。感想で答えるしかない。その状態が少し変わりました。

公開データにそのまま聞ける

Anthropicは、AIが実際にどう使われているかを測ったデータをEconomic Indexとして公開しています。2026年7月22日から、このデータにClaudeから直接聞けるようになりました。ここで言うClaudeは、ブラウザやアプリで使うチャットのほうです。Claude Codeの機能ではないので、そこは切り分けて読んでください。

claude.aiの設定にあるコネクタの一覧からAnthropic Economic Indexを選んで有効にすると、どの会話からでも聞けます。「AIを一番多く使っている職業はどれか」「どんな作業が自動化されているのか」といった質問に、このデータをもとにした答えが返ってきます。

データそのものは、今まで通り公式サイトから無料でダウンロードできます。今回加わったのは、ダウンロードして表計算ソフトで開かなくても、会話で聞ける入り口です。

コネクタというのは何なのか

一行だけ補足します。コネクタは、Claudeと外部のデータやサービスをつなぐ差し込み口です。有効にすると、Claudeがそのデータを参照できるようになります。

今回のものは、Anthropic自身が公開しているデータへの差し込み口。だから、追加の契約やキーの登録は必要ありません。一覧から選んで有効にするだけです。

つなぐ仕組みの全体像は、こちらの記事で扱っています。

数字で答えられると話が変わる

私がこれを使って最初に聞いたのは、自分の研修の受講者にあたる職種の話でした。事務、営業、企画といった職種で、AIがどんな作業に使われているのか。

返ってきたのは、私が想像していたものとは少しずれていました。想像では文章を書く作業が中心だと思っていたのですが、データを整える作業や情報を探す作業の比重が思ったより高かった。この差は、資料を作るうえでかなり大事な情報です。

具体的な数字はここには書きません。データは更新されていくので、私が見た時点の値を貼っても、読んだ人が見る値と食い違うからです。自分の職種について、自分で聞いて出た数字を使うのが確実です。

感想で答えるのと、公開データを引いて答えるのとでは、聞いている人の受け取り方が変わります。とくに、経営層に説明する場面では、数字が一つあるだけで話の重さが違ってきます。

anthropic economic index の使いどころ

具体的にどんな聞き方が役に立つか、私が試して手応えがあったものを挙げます。

自分の職種でAIがどう使われているかを聞いて、まだ手を付けていない領域を探す使い方。自動化されている作業と、人に相談する形で使われている作業の比率を聞いて、置き換えではなく補助の使い方がどれだけあるのかを見る使い方。そして、業界ごとの傾向を聞いて、自分の会社が進んでいるのか遅れているのかを測る使い方。

どれも、感覚で語っていた部分を数字に置き換える作業です。

気をつけたいこと

便利なので、そのまま資料に貼りたくなります。ただ、扱いには一つ注意があります。

このデータは、Claudeがどう使われたかをもとにしたものです。世の中のAI利用の全体ではなく、Claudeという一つのサービスの中で観測された姿。だから「AIの使われ方」として引くときは、その前提を書き添えたほうがいい。私は資料に載せるとき、必ず出典と、Claude上のデータであることを一行入れています。

もう一つ。数字を聞くときは、聞いた質問と返ってきた数字を両方メモしておくといいです。あとで「この数字はどこから出たのか」と聞かれたときに、質問文が残っていれば同じことをもう一度確認できます。

感想から数字へ

正直に言うと、私はこれまで「AIで仕事がどう変わるか」を語るとき、自分の観測範囲だけで話していました。研修で会う人が数百人いれば、それなりに実感はある。でも、それは統計ではありません。

公開データに聞けるようになったので、これからは実感と数字の両方で話せます。実感は具体性を出せて、数字は範囲を示せる。両方あるほうが、聞いている人にとって判断の材料になります。

自分の職種について一度聞いてみるところから始めるのがいいと思います。想像とずれていたら、そのずれ自体が、次に手を付ける場所を教えてくれます。