復活したFable 5を、自分のツールに組み込みたい。そう考えて、私はOpus 4.8で動かしていた小さなプログラムのモデルを差し替えてみました。名前を書き換えるだけだろうと思っていたら、いくつか引っかかった。同じところでつまずく人が出そうなので、順番にまとめます。

先に断っておくと、この記事は、自分でツールやアプリをOpus 4.8のAPI(プログラムから直接AIを呼び出す入り口)で動かしている人向けです。ブラウザのチャットやCursor(別のAIコーディングツール)から使うだけなら、乗り換えの作業は要りません。なお、ここでのFable 5もOpus 4.8も、AIそのもの(モデル)の名前です。

まず料金が2倍になる

いちばん最初に押さえたいのがお金です。Fable 5は100万トークンあたり入力10ドル・出力50ドル。Opus 4.8は入力5ドル・出力25ドルなので、単価はちょうど2倍です。トークンはAIが文章を数える単位で、日本語ならおおむね1文字前後だと思ってください。入力はこちらが送る文章、出力はAIが返す文章のことで、返す側のほうが割高に設定されています。

同じ作業でも請求は増えます。どんな作業のときに2倍を払う価値があるかは、料金の記事で書きました。

モデル名の差し替えだけでは足りない

コードのなかでモデルを指定している部分を書き換えます。

claude-opus-4-8   →   claude-fable-5

ここまでは想像どおり。ただ、これだけだと以前のコードのままでは動かない場合があります。理由は次の「考える指定」です。

「考えて」と指定しなくてよくなった

Opus 4.8では、じっくり考えさせたいときに思考の設定を書いていました。Fable 5では、この考える動作が常にオンになっていて、思考をオフにする指定や、考える量を手で決める旧来の指定が残っているとエラーになります(指定を省いておけば、そのまま正常に動きます)。

つまり、以前のコードに思考をオンオフする指定が残っていると、それを消す必要があります。深く考えさせたいかどうかは、代わりにeffort(考える深さのつまみ)で決める形に変わりました。ここは一本の記事にしたので、あわせて読むと迷いません。

出力の上限を見直す

もう一つ地味に効くのが、出力の上限(max_tokens)です。Fable 5では、この上限が「考えた分」と「実際の回答」の合計にかかります。

Opus 4.8で考えさせずに使っていた作業をそのまま移すと、考える分だけ枠を食って、回答が途中で切れることがあります。乗り換えのついでに、上限を少し余裕をもたせておくと安全です。

データ保持の条件で弾かれることがある

呼び出した瞬間にエラーで返ってくる、というつまずきもあります。Fable 5は入力と出力を30日保持することが必須で、データを即消す設定(ゼロデータ保持)のままだと、リクエストが弾かれます。会社の情報を守るために、あえてデータを残さない設定にしている組織などが該当します。

心当たりがあるなら、この条件を先に確認しておくとつまずきません。中身は別記事にまとめました。

地味にうれしい変更もある

いいこともあります。同じ内容を繰り返し送るときに費用を抑えるプロンプトキャッシュ(一度送った内容を使い回して安くする仕組み)が、Fable 5では512トークンから効くようになりました。Opus 4.8では1024トークン必要だったので、短めのプロンプトでもキャッシュが効く。コードを変えなくても、少しだけ安くなる場面があります(これはClaude APIから使う場合の話で、Amazon Bedrock経由では1024トークンのままです)。

乗り換える前に小さく試す

私の失敗は、いきなり本番のツールで差し替えて、思考の設定が残ったままエラーを出したことでした。原因にたどり着くまで30分ほど溶かしました。

先にコピーした小さな環境で一度動かして、料金・設定・データ保持の3つを確かめてから本番に移す。遠回りに見えて、これがいちばん早いです。乗り換え自体は、勘どころさえ押さえれば数十分で終わります。