Claude Codeの画面は、枠線で囲まれた箱があって、待っている間はくるくる回るしるしが出て、同じ場所の文字が何度も書き換わります。目で見るぶんには気持ちがいい表示です。でもこれ、音声で読み上げる道具とはとても相性が悪い。2026年7月中旬の更新で、そこに手が入りました。

何が読めなかったのか

先に、これまで何が困っていたかを整理します。

スクリーンリーダーは、画面に出ている文字を上から順に読み上げる道具です。ところがClaude Codeの表示は、同じ場所を上書きしながら更新していく作りでした。読み上げる側からすると、さっき読んだところがいつのまにか別の文字に変わっている状態。どこまで読んだのかがわからなくなります。

枠線で囲む表示も、音声にすると「けいせん けいせん」と余計な情報になります。見た目を整えるための飾りが、そのまま雑音になっていたわけです。

スクリーンリーダー向けの表示に切り替わる

今回あらためて紹介されたのが、この見た目の表示をやめてしまうモードです。仕組み自体は少し前のバージョンから入っていましたが、7月中旬の公式のまとめで正面から取り上げられました。

このモードにすると、箱もくるくるも上書きもなくなります。代わりに、何の情報なのかを示す名札の付いた行が、上から順にただ出力されます。読み上げの道具が、そのまま順番に読める形です。

代表的な読み上げの道具は二つあります。VoiceOverはMacに最初から入っているもので、追加の用意は要りません。NVDAはWindows向けに無償で配布されているもので、自分で入れて使います。

許可を求める確認も、作業の結果も、この形で最後まで読めます。見えないから使えなかった部分が、読める形になった、という変化です。

まず一回だけ試す手順

指定のしかたは三通りありますが、まず試すなら一つめだけで足ります。

Claude Codeはターミナル(文字だけを打ち込んで操作する画面。Macなら「ターミナル」、Windowsなら「PowerShell」という名前で入っています)から使います。そこで、いつも claude と打って起動しているところを、claude --ax-screen-reader に変えて打つ。それだけでこのモードで始まります。合わなければ、次からふつうに claude と打てば元に戻ります。

残る二つは、毎回打たずに済ませたい人向けです。ターミナルを開いているあいだ有効にしたいなら CLAUDE_AX_SCREEN_READER という環境変数(パソコン側に覚えさせておく設定項目)を使い、いつでも常にこの表示にしたいなら axScreenReader という設定項目を設定ファイルに書きます。書く場所の話はこちらにまとめています。

まず一回だけ試して、良さそうなら常時に切り替える、という順番がわかりやすいと思います。

見えている人にも使いどころがある

このモードは、視覚に障害がある人のためのものです。ただ、それ以外にも役に立つ場面があります。

上書きしない、順番に出るだけの表示ということは、その出力をそのまま記録として保存しやすいということです。作業のログを残したい、あとで誰かに何が起きたか説明したい、というときに、画面の飾りが入っていないほうが扱いやすい。

私も、研修の資料に画面の様子を貼るとき、通常の表示だと箱の線がずれて崩れることがありました。文字だけの表示に切り替えると、そのまま貼れます。目的外の使い方ですが、便利でした。

読み上げ以外の表示の工夫もある

Claude Codeには、以前から見え方に関わる調整がいくつか入っています。今回のモードとあわせて知っておくと選びやすい。

色の見え方が合わない場合は、配色を自分で作って差し替えられます。文字の動きが速すぎて追えない場合は、待機中の表示のしかたを変える設定もあります。今回のモードは、そうした細かい調整では足りない部分に、表示そのものを差し替える形で応えたものです。

配色まわりの変え方は、こちらの記事で扱っています。

自分の困りかたが「色」なのか「動き」なのか「順番に読めないこと」なのかで、手を付ける場所が変わります。順番に読めないことが問題なら、今回のモードが一番効きます。

スクリーンリーダー対応で押さえること

まとめると、押さえるのはこのあたりです。

読み上げの道具に合わせて表示そのものを差し替える方式なので、読み上げ側の設定をいじる必要はありません。切り替えは自分の環境の中だけで完結するので、チームの他の人の見え方には影響しません。そして、通常の表示に戻したければ、指定を外すだけです。

導入のハードルが低いので、少しでも読み上げで困っているなら試す価値があります。

使える人が増えるという意味

正直に言うと、私はこの更新を最初「自分には関係ない機能だ」と読み飛ばしました。あとで、研修に申し込んでくださった方から画面の読み上げについて質問をいただいて、慌てて調べ直しました。

非エンジニアがAIを使って自分の仕事を組み立てる、という話をしているとき、その入り口が一部の人に閉じているのは筋が通りません。表示のしかたを選べる、というのは地味な変更ですが、使える人の範囲が広がる話です。私は今後、研修の案内にこのモードの存在を一行入れることにしました。

環境まわりの前提条件は、こちらの記事も参考になります。