「KiroってClaude Codeと何が違うんですか」という質問が、ここ数週間で何度か来ました。Kiro(キロ)は2026年初頭にAWSが発表したAI開発エージェントで、Claude Codeと似た方向性のツールです。検索量も伸びていて、企業のIT部門から「うちでも検討中」と相談が来始めています。
この記事では、KiroとClaude Codeを実機で並べて触った範囲での違いを整理します。
Kiroの位置づけ
KiroはAWSが提供するAI開発エージェントツールで、IDEに統合される形で提供されています。簡単にいうと「VS CodeやEclipse的なエディタ + Claude/Anthropic等のモデル + AWS統合」がパッケージになったもの。AWSの開発者向けカンファレンスで2026年初に発表されました。
公式の位置づけは「仕様駆動のAI開発」。最初に「やりたいこと」を仕様として書かせ、Kiroがそれを設計と実装に落とす、というワークフローを推す造りです。
Claude Codeとの大きな違いは2つ。
第一に、IDEバンドル。Claude CodeはCLI(ターミナルから動かす)が中心ですが、KiroはVS Code/Eclipseライクの独立IDEとして配布されています。エディタ画面を持っていて、AIエージェントは右ペインに配置される構造。
第二に、AWSサービスとの統合。S3、Lambda、DynamoDB、ECSなどAWSのリソース操作が一級市民。AWS上で開発・運用する人にはこの統合が便利。
Claude Codeとの正面比較
実機で並べて触った結果を表にまとめます。
観点 | Claude Code | Kiro |
|---|---|---|
配布形態 | npmパッケージ(CLI) | IDE単体ダウンロード |
エディタ | 既存のVS Code等を流用 | 専用エディタ内蔵 |
ターミナル統合 | 元々ターミナルツール | エディタ内蔵ターミナル |
バックエンドAI | Claude(Opus/Sonnet/Haiku) | Claude含む複数モデル選択可 |
AWS統合 | MCP経由で別途設定 | 最初から組み込み |
料金体系 | Anthropic Pro/Max/Teamプラン | AWS料金体系(無料枠あり) |
カスタマイズ | CLAUDE.md / サブエージェント / MCP | spec(仕様)ファイル + steering |
対象ユーザー | エンジニア全般 + 非エンジニア | エンジニア中心、特にAWS利用者 |
総評として、既にAWSメインで開発しているチームには Kiro が刺さる、それ以外なら Claude Code の方がエコシステムが成熟している、というのが半年触っての印象です。
操作体験の違い — 仕様駆動 vs プロンプト駆動
ここがいちばん哲学的な差です。
Kiroの推奨フローは「仕様 → 設計 → 実装」の順。spec ファイルに「ユーザーが何をしたいか」を書いて、Kiroが要件定義→設計書→タスク分解→コードと展開する。仕様駆動とAWS自身が呼んでいます。
Claude Codeは「対話の中で要件を固めながら、その場で実装に進む」というプロンプト駆動。CLAUDE.mdにルールを書いておけば、自然言語の指示で動く。
どちらが優れているかはやる仕事によるです。
- 要件がふわっとした PoC や個人プロジェクト → Claude Code の対話型が早い
- 要件が固まっていてチームで開発する受託案件 → Kiro の仕様駆動が再現性高い
私の感覚では、業務委託で受けたWebアプリ案件は Kiro の方が向く場面があり、自分のSEOメディア運用は Claude Code の対話型が圧倒的に楽です。
料金の比較
KiroはAWS料金体系。発表時点では個人開発者向けに無料枠が用意されていて、月の利用回数が一定までは無料で使えます。それを超えると従量課金 or サブスクリプション契約。
Claude Codeは Anthropic の Pro / Max / Team プラン。
「とりあえず触ってみる」段階では、Kiroの無料枠が試しやすいです。本格運用に乗ったら、利用量の見積もりで比較する流れになります。私の関与した案件では、AWS上ですべて回す前提のチームはKiroに、汎用的に使うチームはClaude Codeに、と棲み分けています。
併用するシーン
両方を使う場面もあります。私の現在の構成を共有します。
- 日常の業務自動化(議事録/メール/Excel) → Claude Code(CLAUDE.mdの蓄積が効く)
- 個人プロジェクトの設計・実装 → Claude Code
- 顧客先のAWS環境への組み込み案件 → Kiro
- AWSサービスを多用するインフラ作業 → Kiro
切り分けの軸は AWSと密結合かどうか。AWS依存度の高い作業はKiro、それ以外はClaude Codeです。
どちらを選ぶべきか — 3つの判断軸
選択に迷う方は、次の3つを自問してください。
第一に、開発環境がAWSかどうか。本番がAWSなら Kiro の組み込みが効きます。GCP / Azureメインなら Kiro の優位性は薄れる。
第二に、すでに使っているエディタ。VS Code に他の拡張(GitHub Copilot等)を入れて快適に使えているなら、Claude Code のCLIをVS Code内のターミナルで動かす方式が拡張資産を活かせます。完全に新しい IDE に乗り換える障壁は高め。
第三に、対象ユーザーがエンジニアか非エンジニアか。非エンジニア(経理・総務・営業)に使わせるなら Claude Code 一択です。Kiroは開発者向けの作り込みなので、ターミナルが分からないユーザーにはハードルが高い。
私の研修先で、Kiroの方が良さそうな企業が3社中1社、Claude Codeの方が良さそうな企業が2社、両方併用が現実解の企業が1社、という分布でした。
まとめ
- KiroはAWSが2026年初に発表したIDE型AI開発エージェント
- Claude CodeのCLI型・対話駆動に対し、Kiroは仕様駆動でIDE統合
- AWS依存度が高いチームには Kiro、それ以外は Claude Code が無難
- 非エンジニアを巻き込むなら Claude Code 一択
- 両方併用も現実的(私の場合は AWS案件のみ Kiro)
- 試すならKiroの無料枠から、本格運用は利用量で比較が定石





