Claude Codeを3ヶ月ほど使い続けて、ある日ふと思いました。
「毎回、同じ説明を繰り返している」
日報を頼むときは「です・ます調で、所感も入れて」。Excelを整理するときは「月別で集計して、output/に保存して」。議事録を渡すときは「決定事項と宿題に分けて」。
全部、前にも同じことを言った。AIは覚えてくれない。正確に言うと、会話が変わるとリセットされる。
この繰り返しを何とかしたくて調べていたときに、スキル(Skills) という仕組みを知りました。
スキルとは何か
ざっくり言うと、「いつも頼む仕事の手順書」をファイルに書いて保存しておく仕組み です。
たとえば「日報を整形してください」と毎回10行のプロンプトを書く代わりに、その手順を SKILL.md という名前で保存しておく。次からは /nippou のように短い一言で呼び出せば、保存した手順どおりに動いてくれます。
人間で言えば、仕事のマニュアルを渡された新人が、毎回マニュアル通りに動いてくれる 感覚です。ただし、この新人は秒速で作業が終わります。
最初の1つを作った日
筆者が一番最初にスキル化したのは、日報でした。理由は単純で、毎日使うのに毎日同じ説明をしていた から。
.claude/commands/ というフォルダの中に nippou.md を作って、こう書きました。
渡された箇条書きメモを業務日報に整形してください。
「です・ます」調で、「お疲れさまです」で始めて「以上、よろしくお願いいたします」で締める。所感を2行、明日の予定を3項目入れてください。
たった5行。これを保存した翌日から、日報の指示は /nippou と打ってメモを貼り付けるだけになりました。
毎回10行書いていたプロンプトが1行に。地味ですが、毎日のことなので積算するとかなりの節約です。
2つ目はExcel集計
日報がうまくいったので、翌週、Excel月次集計もスキル化しました。
excel-shuukei.md として保存した内容はこんな感じです。
raw/ フォルダの sales_*.xlsx を全部読み、output/summary.xlsx に以下の構成で保存してください。
シート1 — 月別売上サマリー(月/売上/前月比) シート2 — カテゴリ別ランキング シート3 — 担当者別実績
これで /excel-shuukei と打つだけ。毎月30分かかっていた集計が、1分で終わるようになりました。
3つ目で「あ、これチームだ」と感じた
3つ目のスキルを作ったのは議事録でした。gijiroku.md に会議録の整形ルールを書きました。
このとき気づいたのです。
- 日報の人(毎日の報告)
- Excel集計の人(月次のデータ整理)
- 議事録の人(会議後の要約)
3人分の仕事が、3つのスキルで回っている。ひとり業務改善チームだ、と。
最終的に5つで安定した
その後、メール下書きと請求書整理もスキル化しました。今の構成は5つです。
スキル名 | やること | 使用頻度 |
|---|---|---|
| 日報の整形 | 毎日 |
| 月次Excel集計 | 月1回 |
| 議事録の整形 | 週2回 |
| ビジネスメール下書き | 週3〜5回 |
| 請求書データの整理 | 月1回 |
5つで十分か? と聞かれれば、今のところは十分です。仕事で繰り返す作業のうち、「毎回同じ説明をしているもの」がこの5つに集約された からです。
なぜスキルで統合すると速くなるのか
1つ1つのスキルは単体でも便利ですが、複数のスキルを同じ CLAUDE.md の下で動かす と、もう一段速くなります。
CLAUDE.md はClaude Codeの「記憶ファイル」のようなもので、全スキルに共通するルール(言語設定、禁止事項、フォルダ構成など)を書いておけます。
筆者の CLAUDE.md にはこんなことが書いてあります。
すべての返答を日本語で。ファイル操作前に確認を取る。output/ に保存。個人情報を含むファイルは処理しない。
これが全スキルに効くので、スキルごとに同じ注意書きを繰り返す必要がない。日報スキルもExcelスキルも、同じルールの下で動きます。
人間の組織で言えば、社内ルールを全員が理解しているチーム に近いです。メンバーに毎回「機密情報は扱わないでね」と言わなくていい。
1日の流れ — Before / After
スキルを導入する前と後で、1日の流れがどう変わったかを比較します。
Before(スキルなし)
朝イチでExcelを開いて集計を始める。会議後に30分かけて議事録。夕方に日報を書きながら「もう17時か」と気づく。合間のメールは1通10分。
1日の事務作業 — 3時間前後
After(5スキル導入後)
朝、スキルを3つ呼ぶ。日報のメモ、昨日の会議録、月初ならExcel。全部合わせて20分。メールは /mail に用件を投げて1分。
1日の事務作業 — 40〜50分
浮いた2時間は、企画を考えたり、取引先と電話したり、本来やりたかった仕事 に使えるようになりました。
スキルを作る手順
筆者がやった方法をそのまま書きます。
手順1 — 繰り返している作業を1つ選ぶ
「毎回同じことを説明している」作業が候補です。筆者の場合は日報でした。あなたの場合は何ですか?
手順2 — 手順をMarkdownで書き出す
完璧じゃなくて大丈夫です。「最初にこうして、次にこう」のレベルで十分。筆者は最初、3行しか書きませんでした。
手順3 — .claude/commands/ に保存する
作業フォルダに .claude/commands/ フォルダを作って、そこにMarkdownファイルを置きます。名前は何でも良いですが、呼ぶときの名前になるので短い方が楽です。
手順4 — 使ってみて直す
1回目の出力は「惜しいけど違う」になりがちです。3回くらい直せば安定します。筆者の日報スキルも、3日目に「所感が長すぎる」問題を修正して今の形になりました。
手順5 — 2つ目を作って、CLAUDE.mdを書く
2つ目を作ったら、共通ルールを CLAUDE.md に書き出します。ここからスキル同士が連携する「チーム」に育ちます。
うまくいかなかったこと
正直に書くと、2つ失敗しました。
失敗1 — 最初から10個作ろうとした
張り切って一気に10個のスキルを設計しようとしました。3日目に疲れて投げ出しました。結局、1つずつ作って実運用してから次に進む のが一番早かった。
失敗2 — 手順書を詳細に書きすぎた
初期のExcelスキルは20行以上の細かい指示を書いていました。でも細かすぎるとAIが混乱するケースがあり、5〜10行のシンプルな指示に削ったら安定した、という経験をしました。
これから始める人へ
21個も5個も、最初は遠い話に聞こえるかもしれません。
でも出発点は「1つ」です。
毎日書いている日報、毎週まとめているExcel、毎月の請求書処理。その中で 「また同じ説明をしている」と感じた瞬間 が、最初のスキルの種です。
1つ作るのに、15分もかかりません。

